最近はバイオ医薬品の普及により難病と呼ばれいていた病気にも対処できるようになってきた。
しかし、問題も新たに生まれた。それは医薬品の値段の高さだ。
理由は開発費用の高さだ。そこで欧米では「成功型報酬」という制度を導入している。
日本でも武田薬品工業が「成功報酬型」を導入するとしている。では、成功報酬型とは何だろうか。
まず、現在成功報酬型を導入している医薬品を表にして表そう。
薬剤名(疾患名) | 製薬会社 | 当初価格 |
ラクスターナ(網膜の遺伝病) | スパーク・セラピューティクス(米) | 9600万円 |
キムリア(白血病) | ノバルティス(スイス) | 5400万円 |
ハーボニー(C型肝炎) | ギリアド・サイエンシズ(米) | 900万円 |
レパーサ(高脂血症) | アムジェン(米) | 年150万円 |
エントレスト(心不全) | ノバルティス(スイス) | 年50万円 |
価格の高さが目につくだろう。その上、公的な医療保険の対象にならない遺伝子治療などが相次いだため、成功報酬型の制度の導入が欧米で進んだ。
では、成功報酬型の説明をしよう。
「成功報酬型」
欧州や米国で「アウトカム・ベース」や「バリュー・ベース」と呼ばれる薬価制度で、医療への経済的な評価を薬の評価に反映させる仕組み。患者に効果が出れば製薬会社が提案する薬剤費を全額支払うが、効果がなければ支払いが不要となるか、値引きするなど弾力的に運用される。米国では製薬会社と保険会社がこうした契約を結び、医療現場で使う薬が増えている。
高額な薬が増え、各国の医療財政を圧迫していることが背景にある。英国調査会社のエバリュエートによると、2018年の世界で処方された医療用医薬品の販売額は約90兆円で、00年と比べ3倍近くに膨らんだ。製造コストが高く、価格も高いバイオ医薬品の普及が製剤費の増加につながっているとみられる。
英国では高額な薬剤を認めない傾向があるが、患者に不利益とならないように成功報酬型の仕組みを積極的に活用している。ただ成功報酬型は製薬会社の提示する価格を効果で判断する仕組みのため、政府が薬価を決める日本の医療制度になじみにくい。また、いったん成功報酬型を認めた場合、その後に価格を下げにくくなるため、公的負担にとってプラス面とマイナス面がある。
成功報酬型の制度は、高額な医薬品を使用する際に不可欠になってくる。しかし、表をみてもらってわかった通り、信じられないくらい薬価値段は高い。平均の収入の世帯ではまず購入できない。成功報酬型といえども、効果が現れたら支払わなければならない。ここは保険会社の出番になるだろう。
研究が進みあらゆる病気に対応する薬が開発されることは素晴らしいことである。しかし、世間一般に、厳密に言えば患者を有する世帯が購入し使用されることが、開発チームの夢なのだろう。だったら、高値が原因で使用が広まらなければ開発した意味も薄れてきてしまう。
どうにかして世間的に使用できる環境が整えば、と思えてならない。
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