パチンコの歴史と警察・ヤクザとの関わり。【ギャンブル?違法?グレー産業】

パチンコ屋と聞くと、グレーゾーンのギャンブルを取り扱って依存症の人から金を巻き上げているというイメージが持たれやすい。あまり詳しくない人でも、「ギャンブル」「よくない事をしている」「こわい」「お金がなくなる」「ヤクザ」といった悪いイメージは持っていることが多い。

なぜパチンコはこうも分かりにくく、そして悪いイメージをもった、グレーゾーンの業界なのか。

その理由は警察とパチンコとの歴史にあった。

目次

パチンコの起源

まずはパチンコの起源の歴史からみていこう。

パチンコ産業の起源は1924年に東京のデパートにできた『球技式菓子自動販売機』らしい。お金を入れて出てきた球を弾いて入賞口に入れるとお菓子が出てくる機械だ。この機会はデパートの屋上などに設置され人気を博し、全国に広まっていった。そして金沢でパチンコという名前がついた。

1930年に愛知県警が名古屋で初めてパチンコホールに対して営業許可を出し、パチンコ業が始まった。瞬く間に人気になり流行りかけていたが、太平洋戦争の時期に「不要不急の産業」と見做され遊技場は強制廃業されてしまう。

しかし戦後にはその手軽さから庶民の遊び場として復活した。一躍ブームとなり1949年に4818軒だったパチンコホールは1953年に4万3452軒と10倍までに膨れ上がる。産業規模も2500億円規模になった。これは当時のGDPの4%を占めた。パチンコホールは遊技機を買いそろえればすぐに参入が出来たため参入障壁が低く、日本全国で参入企業が殺到した。特に名古屋はパチンコと縁が深く、京楽・サンセイ・豊丸産業・ニューギンといった大手パチンコメーカーが多い。

こうしてパチンコホールは全国に広まっていき、人気のある産業だった。

パチンコとヤクザとの関わり

もともとパチンコには換金の習慣はなかった。ブームの始まりである1948年~1949年ごろは客は遊戯を楽しみつつ景品であるタバコの獲得を狙うささやかな遊びだった。当時は一発ずつ自身で球を込めて打つ単発式だったため1分間で50発程度しか打てず、景品の大量獲得とは程遠い遊びだった。

しかし1952年に複数球をストックできるパチンコ台が開発され、発射性能が格段に向上した。1分間で130発打てるようになった。これは分ごとの投入金額が2倍になったことも意味している。さらに1954年には電動式連発機が登場し、手動から電動に変わり1分間に200玉以上の発射が可能となった。ここまでくるとギャンブル性も格段にあがり、買った客は処分しきれないほどの景品を獲得するという事態が起こるようになった。

ここにヤクザが目をつけた。大量のたばこを獲得して店を出てきた客からタバコを買い取り、それをパチンコホールに売り戻し始めた。簡単に説明すると、定価100円のたばこを80円でヤクザは客からタバコを買い取る。そしてそのタバコを90円でパチンコホールに売る。こういうシステムが出来上がった。客はいらないタバコを現金化でき、パチンコホールはタバコを定価より安く仕入れができ、ヤクザは差額10円を儲けることができる。誰も損をしないシステムが誕生した。

しかしこのギャンブル性の上がったパチンコ業界を警察は問題視し、1954年に連発式パチンコの規制に踏み込んだ。この時の警察の方針は「ギャンブル性が高い物は認めず、商品も安価なものに限定し、現金化を防止する」というものだった。

規制後も換金の文化は絶えなかった。換金の中核を担っていたのが存在自体が法令順守をしないヤクザだったからだ。ここで換金制度を禁止したい警察と換金利権を求めるヤクザに板挟みにあいパチンコホールは苦悩することになった。そこでパチンコホールは警察OBと協力してなんとか「警察も認める換金方式」を確立しようと動き出した。そこで大阪市警OBの水島という人物をパチンコ業界に招き入れた。

風営法によりパチンコホールは自身で景品の買い取りは禁じられている。しかし、パチンコ店とはまったく関係のない独立した第三者の組織が客から景品を買い取ることはギリギリ風営法には抵触しないと水島氏は考えた。そこで景品買取所という組織が出来上がり、客から景品を買い取り、それをパチンコホールに回すという今のビジネス、三店方式が出来上がった。同時にヤクザは撤退を余儀なくされ、現在のパチンコ業界とヤクザの利益は関係はもうなくなっている。

パチンコと警察との関わり

ヤクザとの関係を絶つことに成功したパチンコ業界だが、逆に警察との距離が近くなった。警察のOBに力を貸してもらい、三店方式はグレーゾーンという形で見逃してもらえることになった。

その関係性からか、パチンコ業界は警察の天下り先として使われるようになった。

パチンコホールには各都道府県に「○○県遊技業協同組合」という業界団体があり、全国レベルでは「全日本遊技事業協同組合連合会」なるものが存在している。そしてそれぞれの各組織には、都道府県警察・警察庁のOBが天下りという形で再就職している。

これは警察側にとって利益だ。パチンコ産業は数十兆円規模の産業である。こんな売上高を誇る企業は日本のトップクラスだ。報酬も当然良い。こんなおいしい利権があるため、パチンコ業界と警察のつながりは強いのだ。

建前上は規制する側とされる側だが、実体はズブズブの関係になっている。

この警察との癒着という面がパチンコをグレー産業たらしめている。

おわりに

パチンコは競艇や競馬などの官営ギャンブルではなく、完全な民営ギャンブルだ。

風営法によりギャンブル自体は禁止されているため「遊技場」という建前でパチンコホールは存在している。その存在自体が法律上グレーだ。そして前述したように警察との癒着という問題も抱えている。

噂されているヤクザとの関わりについては清廉潔白だが、パチンコの在り方をしっかり定めてほしいと思う。

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この記事を書いた人

文系で日本史専攻→システムエンジニア
情報処理安全確保支援士・AWSSAP
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