日経新聞の連載トピックス「働き方進化論」。
今回は2019年4月6日の記事より、これからの会社の在り方について考えたい。
今回のテーマは「消えるベテラン優位」。
会社の暗黙のルールであるベテラン優位が、どのように「消える」のだろうか。
4月6日日経「働き進化論」要約
資生堂では2017年1月に導入した逆メンター制度「リバースメンター」が行われている。若手社員が先生として、役員にIT(情報通信)の使いこなし方を教えている。
➡若手「外部の取引先も入れてチャットグループを作っています。ここに資料をあげれば関係者全員と共有できますよ。」役員「チャットがこんな場面で役に立つとは驚き、打ち合わせのために得意先に出向いていたが、これは便利だ。」
「豊富な経験と知識を持つベテランだからこそ大きな結果を出せる」という終身雇用と年功序列の日本社会に根付いた常識は今は通用しない。ITの普及で情報量は爆発的に増えて知識は短命化し、経験がものをいう領域は小さくなっている。
➡元オラクル幹部リズ・ワイズマン「豊富な経験を持つ利点は以前ほど大きくなく、むしろ弊害が思いのほか大きい」好奇心をもって謙虚な姿勢を持ち続けるほうが成長できる。
新人には教えてあげるという固定概念を捨てることで、ようやく新人の能力や特性を取り込みことができる。
ITの普及が社会に与えた影響が非常に大きい。IT技術の進歩なくして、若手活躍社会は出現しなかっただろう。
ITの登場により、誰でも簡単に知識を手に入れることができるようになり、誰でもイノベーションを起こせる可能性を持つようになった。
こうなってくると、保守的になりがちなベテラン社員よりも若手社員や学生のほうが挑戦的なイノベーションを生み出せるポテンシャルが高くなる。
要約でも出た言葉だが、「好奇心をもって謙虚な姿勢を続ける」ことこそが価値のある人材なのが現代社会である。ありがたいことは、日本を代表する大企業がこの考えを受け入れ、若手に自由にやらせてみようという風土になってきたことだ。大企業であってもベンチャー気質がでてくるスタイルになっている。
IT社会の一つ先の未来、超スマート社会に向け優秀な人材が育つ環境は整いつつあるのかもしれない。
しかし私が恐れていることが一つある。
それは優秀な人材とそうでない人材の差が大きく乖離していくことだ。今でさえITを活用しイノベーションを起こそうとしている学生と、遊びほうけている学生とに二分されている。これがこの先超スマート社会になれば、イノベーションを起こす側、それを享受して生きる側になるかもしれない。そうなると、イノベーションを起こせない人は次々と職がなくなっていくかもしれない。あたりまえのようにAIが仕事をし始めるからだ。
小学校にプログラミングが必修化されたが、全国民がITを活用できる教育が不可欠になるだろう。
IT人材が育つ教育システムができれば、日本の未来はようやく明るいものとなるかもしれない。
今回の記事のように、ベテランの人たちがITを受け入れるようになってくれたのは嬉しい限りだ。
ベテラン層がITを活用することに前向きになれば、日本特有のお堅い会社の在り方は確実に変わる。
「消えるベテラン優位」
この言葉は悪い意味ではなく、会社が進化の途中であることを意味していると感じる。
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