DHCPとは何かを解説いたします。IT用語や横文字を極力つかわず誰でもわかる内容になるよう作成しました。
DHCPについてざっくり何かを理解できる内容になっておりますので、是非参考にしていただければと思います。
1. DHCPとは何か?
DHCPの基本解説
DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)は、インターネットやIPネットワークに新たに接続した機器に、自動的にIPアドレスなど通信に必要な設定情報を割り当てるための通信規約(プロトコル)です。
IPアドレスについては以下の記事を参考にしてください。
DHCPはIPアドレスの自動割り当て機能と覚えていただければOKです!
DHCPサーバーとDHCPクライアント
DHCPサーバーは、パソコンやスマートフォン、タブレットなどの端末に、IPアドレスを自動的に割り当てる機能を提供するサーバです。
DHCPクライアントは、DHCPサーバーから割り振られたIPアドレスを受け取る役割を果たします。
サーバとクライアントについては以下の記事を参考にしてください。
DHCPサーバ、DHCPクライアントと言われると大変わかりづらいですが、
DHCPサーバは基本的にはルータで、DHCPクライアントはパソコンやタブレット・スマートフォンです。
IPアドレスを割り当てるのがDHCPサーバ、IPアドレスを割り当ててもらうのがDHCPクライアントです。
IPアドレスの自動割り当て
DHCPサーバーは、設定で決められた範囲内からIPアドレスを割り当てます。例えば、192.168.1.2
から192.168.1.10
までのIPアドレスを設定している場合、最大で9つのIPアドレスを割り振ることができます。
割り当てたIPアドレスは、何度でも使い回されますが同じIPアドレスが割り当てられないように管理します。
例えば、ノートパソコンに192.168.1.2
、スマートフォンに192.168.1.3
を割り当てると、他の端末でも同じIPアドレスが使われないように管理されます。
詳細は後述するIPアドレスプールでしています。
2. DHCPの基本原則
IPアドレスプール
IPアドレスプール(IP address pool)は、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)などで動的にIPアドレスを割り当てたり利用したりするために、固定的な割り当てを行わないと決められたアドレスの範囲のことです。
具体的には、一時的な利用のためのIPアドレスを連番で予約したもので、新たに接続した端末などから割り当て要求が行われると、この中で現在使用していないものが選ばれて提供されます。
利用が終わったアドレスはプールに返却され、次の割り当て要求に備える仕組みです。家庭や企業などでプライベートIPアドレス(ローカルIPアドレス)を運用する際、個別に固定的にIPアドレスを設定する必要がない機器に対しては、IPアドレスプールからDHCPなどで接続時にアドレスを自動的に割り当てることが多いです。プライベートアドレス用に予約された「192.168.」で始まるアドレス領域がよく用いられます。
インターネット接続では、インターネットサービスプロバイダ(ISP)が利用者にグローバルIPアドレスを割り当てる際、固定IPアドレス契約ではない顧客に対してはIPアドレスプールから接続時に空いているものが割り当てられます。
アドレスプールは、論理ネットワークを構成する要素の1つで、管理対象マシンにセットするIPアドレス群を貯めておき、必要時にIPアドレスを払い出す仕組みを持った機能でもあります。
要するに、割り当てたいIPアドレスの範囲を設定できるのがIPアドレスプールと覚えておけばOKです!
リース時間
リース時間とは、DHCPサーバがクライアントに割り当てたIPアドレスの有効時間のことです。デフォルトでは、多くの場合、24時間に設定されています。
具体的には、以下のような仕組みで機能しています。
- デバイスがネットワークに接続すると、DHCPサーバは利用可能なIPアドレスをプールから割り当てます。
- 割り当てられたIPアドレスは一時的なものであり、設定されたリース時間が経過すると期限切れになります。
- 他のデバイスが必要なときにそのIPアドレスを使用できるようになります。これにより、ネットワークの効率化が図られます。
例えば、2つのコンピュータ(AとB)がネットワークに接続されている場合、それぞれに一意のIPアドレスが割り当てられます。翌日、新しいデバイス(C)が接続されると、既存のIPアドレスが有効期限切れになり、新しいデバイスに割り当てられます。これにより、IPアドレスの効率的な再利用が可能となります。
WindowsでDHCPリース時間を確認する方法
- コマンドプロンプトを開きます。
ipconfig /all
コマンドを入力して、リース時間とリースの有効期限を確認します。
MacでDHCPリース時間を確認する方法
- ターミナルを開きます。
ipconfig getpacket en0
コマンドを入力して、lease_timeを確認します。
hex表記(ヘキサ)で表示されるためわかりにくいですが、
0xe10=3600 3600秒=60分です。
3. DHCPのメリット
DHCPを利用するメリットは以下の通りです。
- 信頼性の高いIPアドレス設定:
- DHCPは、同じIPアドレスを持つ2人のユーザー間の衝突を防ぐのに役立ちます。
- もし競合してしまった場合は、両方のユーザーのインターネットへの接続を遮断します。
- モビリティの高さ:
- DHCPはモビリティの高さも確保します。
- ノートパソコンやスマートフォンなどのモバイル機器がネットワークに接続する際に、自動的に設定情報を取得できます。
- モバイル機器は、ネットワーク環境によって接続先が頻繁に変更されるため、手動で設定情報を変更するのは煩雑ですが、DHCPであれば簡単にネットワーク接続できます。
- より効率的なネットワーク管理:
- DHCPは、IPコンフィギュレーション全体を集中管理するため、個別のIP割り当てサーバーが必要ありません。
- 従来の手動設定では、ネットワーク規模の拡大に伴い、設定作業が膨大になり、ミスも発生しやすかったですが、DHCPであればこのような問題を解消し、効率的なネットワーク管理を実現できます。
- 設定ミスの防止:
- 手動設定による設定ミスを防ぎ、ネットワークの安定性を向上させます。
- ネットワーク設定情報には、IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、DNSサーバーアドレスなどが含まれます。これらの項目を誤って設定すると、ネットワーク接続に支障をきたしたり、セキュリティ上の問題が発生したりする可能性がありますが、DHCPであればこのような設定ミスを防ぎます。
- スケーラビリティの向上:
- ネットワーク規模の拡大に伴い、設定情報を容易に追加・変更できます。
- DHCPであれば、新しい機器を追加したり、既存の機器の設定を変更したりする際に、個別に設定情報を変更する必要がなく、容易に追加・変更できます。
- その他のメリット:
- ネットワーク機器の設定を統一できる。
- ネットワークのトラブルシューティングが容易になる。
- セキュリティ対策を強化できる。
DHCPまとめ
DHCPとはIPアドレスの自動割り当て機能です。
IPアドレスプールという割り当て対象のIPアドレスから使用可能なアドレスを割り当てます。
使用されたアドレスや有効時間が切れたアドレスは再利用可能です。
最近はカフェや駅など、街中でWiFIサービスを利用できる場所が増えてきましたが、ほとんどがDHCPでのIPアドレス自動割り当てを使用しています。
興味がありましたら、フリーWiFiを接続したPCにてipconfigコマンドを入力し割り当てられたIPアドレスやリース時間を確認してみてください!
コメント