現代の英才教育、こども教育それでいいの?人格者と才能の違い

近は小さいころから英才教育を受けた者が様々な分野で活躍している。特にスポーツや音楽など芸術・エンタメ性の高い分野はその傾向が顕著である。

彼らは技術の部分をとにかく教育される。そして、その中から史上まれにみる才能を発揮する者がでてくる。

しかし、そういった英才教育で育つ人間はわずかなのは確かだ。自由に育てられる子どもの方が多い。

その両者とも、教育のタイプは似通ってきていると感じる。今回はこどもの教育について、少し疑問を投げかける

 

 

 

最近はやたらと個が意識される時代になったと感じる。個性や才能などがもてはやされ、人間の中身の部分が見過ごされているように思える。

いわゆる道徳の分野だ。

上下関係・親子関係・兄弟関係・夫婦関係、これらについては以前よりも意識されにくくなっているように思える。

芸術面の才能や個人的な特徴や特技などを伸ばすことを良しとし、道徳的観念はその次に大切だという教育が一般化している。たしかに、個人能力はとても大切である。子ども時代からの英才教育で、スポーツ界に顕著だが、これまでにない才能をもった若者が数多く輩出される世の中になった。

しかしそれは逆に、英才教育を受けていない子どもとの格差を広げる結果につながっている。

 

 

 

 

 

江戸時代では家族や上下関係を重んじる儒教が一般的だった。

「仁・義・礼・知・信」の五つをわきまえて行動すること、上下関係を理解すること、この二つが人間に一番必要な能力として教えられていた。

そして、個人的スキル・技術が二の次であった。

学問は本なり、芸能は末なり。

 

芸は、学問の余事      貝原益軒『和俗童子訓

 

これは決して才能教育をないがしろにしているわけではない。

実際、才能教育の大切は説いている人も数多くいた。

しかし、「人格が出来上がっていれば、役に立つ人間になれる」という考えが優勢だった。これは現代にも活きる価値観だと思う。人格あってこその才能である。才能があり人格がない者は見るに堪えない。芸能人の二世などに多いのが人格が出来上がっておらず何だか見ていて情けないと感じてしまう人だ。

国民全員が才能に溢れている国家よりも国民全員が人格者な国家の方が長続きする。人格者は「分」に応じた振る舞いができるからだ。

 

 

 

 

 

現代の義務教育や英才教育から、人格者が輩出されやすいとは思えない。

あなたが子育てをするとき、おそらく才能ある子に育って欲しいと思うだろう。しかし、人格者を育てあげるほうがもっと大切なことなのである。あなたに感謝し、親孝行をする子どもに育つのは、儒教的知識を学んだ人間のほうだ。

そして、人格は幼少期に育たなければあとから身に着けることは大変難しい。才能も同じ性格をもっているが、才能は努力で補うことが十分可能である。

会津藩(現在の福島県)に生まれた山川健次郎という人物は、幼少期にかなりの儒学教育を受けて育った。会津藩は上下関係が特に厳しい藩であった。健次郎は20歳前後でアメリカのイェール大学へ留学し物理学を学んだ。帰国後は東京帝国大学の総長(理事)にまでなった人物だ。

彼のすごいところは決して傲慢にならず、身の程をわきまえ、不正などを徹底的に嫌った、生涯清廉潔白な人格者だったということだ。頭の良さは遅咲きであったにも関わらず日本一の学校を政府から任された。それは彼の人格に惚れられた面も影響している。

才能ばかり伸ばしても、人格が出来上がっていなければ人生のどこかで慢心や天狗になったりしてしまう。不正に手を染めてしまっては後戻りはできない。

今の日本は、清廉潔白な人格者が必要だと、政治家や起業のトップをみて痛いほど感じる。

 

 

 

 

 

江戸時代の儒学教育が輩出した偉人は現在の日本人が尊敬すべき人が大勢いる。

みな日本の未来を真剣に考え、幕末の動乱を生きた人々だ。

時代が違うから真剣さが違うと考える人がいるようだが、それは違うと思う。道徳教育が軽く見られているところに、今の教育は問題がある。

幕末といっても、江戸時代だ。みな平和ボケした人々だった。今の日本と変わらない。違うのは、人格者を育てることが大切と考たか、才能教育が大切と考えたか、である。

教育が変わることは望み薄である。自分の子どもを人格者に育て上げられるかどうかは、あなた自信が儒教的な教え(かつで江戸時代に行われたような)を実践する必要がある。

この才能第一主義の時代に、人格者を輩出するのは、こういう知識を持っている人々が努力をする必要がある。

 

P.S. 会津藩の教育は現代の人からみれば一種の洗脳のように見えます(笑)しかしその教育が生んだ山川健次郎という男は惚れるくらいかっこいいです!

 

 

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