現代の教育に喝!日新館と現代教育

会津藩の教育の質の高さは何度も書いているが、今回は会津藩の藩校・日新館の話をしたいと思う。

十歳くらいで日新館に入学すると、生徒はまず読み書きを習った。習字や雅楽も習った。十三歳からは算術、十五歳からは弓馬槍刀の訓練、十八歳から兵書を学んだ。

日新館心得というものがあった。人間教育を目的にしたもので、人間のあるべき姿を徹底的に教えた。生徒はこれを日々復唱した。

 

一、毎朝早く起きて手を洗い、口をすすぎ、髪を整え、衣服を正して父母に挨拶し、年齢に応じて家の掃除をしなさい

一、父母や目上の者には朝晩、食事の給仕をしなさい。父母と一緒に食事をするときは父母が箸をとってから食事をしなさい。早く食事をするときは、その理由を告げなさい。

一、父母や目上の者の出入りには必ず送迎をしなさい。

一、家を出るときは、父母に行き先を告げ、帰ったときも報告しなさい。

一、父母や目上の人の前では立ちながらものを言ったり、立ちながらものを聞いてはならない。寒くても懐に手を入れず、暑くても扇を使ってはならない。肌を見せたり、衣の裾を上げたりしてはならない。

一、父母や目上の人に言いつけは謹んで承り、呼ばれたとは、速やかに答えて走っていきなさい。

一、父母から重ね着を命ぜられたときは、寒く感じなくてもその命に従いなさい。新しい衣服を賜ったときは、好みでなくても謹んでいただきなさい。

一、父母がいつも座る畳に座ってはならない。道の真ん中は身分の高い尊者が通る道なので、片道を歩きなさい。

一、身分の高い人に出会ったときは、道のかたわらに控えて礼をしなさい。

一、人をそしり、人を笑い、あるいは戯れに高いところに登ったり、深いところに入ったりしてはならない。

一、学習する際は顔を正し、自分はへりくだり、相手を敬ってその業を受けなさい。

一、人と会うときは、不敬不遜の態度をとってはならない。どんなに昵懇に交わっていても言葉を崩したり、野卑な言葉を使ってはならない。

一、父母がいるときは、贈り物の類いを自分のものにしてはならない。父母が喜ぶでしょうといって、これを拝領しなさい。

一、父母の助けになることは、労をいとわずまめに務めを行いなさい。

一、身分の高い人が見えたときは、立って出迎え、帰るときも立って見送りなさい。

一、身分の高い人が見えたときは、立って出迎え、帰るときも立って見送りなさい。

一、客人の前ではいかなる人をも叱ってはならない。たとえ犬猫でも叱ってはならない。

一、身分の高い人が問うた場合は、周りをよく見て、先走って答えてはならない。

一、酒宴や色欲も慎まなければならない。とくに色欲で一生を誤ることがあるので、みだりに色欲の話をしてはならない。また人と争ってはならない。

 

実に厳しいように見える心得だが、これを生徒たちは毎日復唱した。そして実践した。

内容をみると、親と目上の人(年上)に対して従順であれという心得が多い。これじゃあ子どもが可哀想だろうと今の感覚で生きている我々は思ってしまいがちだが、この儒学的思想は会津藩人に受け入れられた。

上下関係に非常に厳しいこの学校教育は、非常に礼儀正しく清廉潔白な会津藩士たちを育成した。なにせ、親も当然この教育を受けてきたわけで、社会全体が厳しい教訓の下で生きている。この思想が会津戦争で老人から子ども、男女関係なく立ち上がった愛国心・忠誠心を作り上げたのだ。

日本人の愛国心は非常に薄いと言われて久しい。それはこういったことを教育の場で子どもに全く教えないからではないか。子どもにこんなことを教えるのは可哀想、自由でないといった風潮のせいではないか。そういう人たちに言いたい。会津の子どもたちは可哀想で、不自由な子どもたちだったのか?と。違う、彼らは当時どの藩よりも真面目で礼儀正しい子どもたちだった。特筆すべきはこの教育は大人になった後にタメになっている。西のほうの藩は酒・女に溺れる人が溢れるほど出た。会津戦争のあとは「会津に処女なし」と呼ばれるほどひどい暴行が行われた。こういった西国の人々を会津人は忌み嫌った。会津人は上に挙げた日新館心得の最後の項にあるように、清廉潔白な人々だったため、性格は真反対だった。

 

 

もちろん、時代が違えば教育も変わる。現代で会津藩の教えを広めれば絶大な効果がでるとは思わない。しかし、現代の子ども教育はこういった面を取り入れるべきだと主張する。過保護な親、すべて自由にさせる親、礼儀をしつけない親、我が子一番のいわゆるモンスターペアレント。こういった親の元で教育される子どもの方が可哀想に思えて仕方がない。これは親のほうがしっかりした教育を受けていないことが原因だろう。

少なくても良い、少しずつ少しずつ、日新館心得のような礼儀・作法・上下関係を学ぶことが大切だと思う人が増えれば、社会は少しずついい方向へ変わるはずだ。

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この記事を書いた人

文系で日本史専攻→システムエンジニア
世の中の役に立つシステムを開発・導入してます。
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