神が地球から姿を消す時~人類史と進化論、そして宗教~

この地球という惑星から神が消えるかもしれない。

いや、そもそも最初からそれらは存在していたのだろうか?

神の存在の議論は未だ正解は出ないが、神という概念はこの地球上から消え去ろうとしている。

 

 

目次

1章・神の存在理由

神は様々な宗教に出てくる。

一神教の宗教もあれば多神教の宗教もある。名前も性格も役割も能力も様々だが、それぞれが人間よりも優れた力を有している。

日本は神道が主流だが、八百万の神という言葉があるように多神教の精神が宿っている。太陽の神アマテラスは天皇制の理由であるし、お米一粒には7人の神様が宿ってると母親に言われて育った人も多い。

外国に目を向ければキリスト教、ヒンドゥー教、イスラム教など数多くの聞き覚えのある宗教の存在を確認できる。

多くの場合、私たち人間と神との関係は対等ではない。神は私たちよりも優れた存在で、畏敬の念をもって接すべき相手だった。時には生贄を必要とする場合もあった。しかし、私たちは神に搾取されるのみではなかった。逆に神から保証されているモノもあった。それは飢饉・疫病・戦争からの解放だった。

人類史において、飢饉・疫病・戦争は人間にとって常に悩みのタネだった。これらから人間を救ってくれるのは神様しかいないという考えが一般的だったため、神という存在が必要だった。しかし、歴史をみると神様が手を差し伸べてこれらから人間を救ってくれた試しはない。

しかし、ここ100~200年で人類史は大きな変化を遂げた。科学とテクノロジーの発展だ。

 

 

 

2章・神か科学か

現在、私たちは飢饉・疫病・戦争を恐れて生活しているだろうか?

日照りや台風、干ばつなどで食べ物がなくなる。疫病が流行し日本の人口の5割以上が亡くなる。戦争が勃発し民族間の殺し合いに心を痛める。そんな恐れは私たちの前から姿を消しつつある。

それは果たして神のおかげだったのだろうか。

 

違う。それは科学とテクノロジーのおかげだった。

 

飢饉は肥料の開発や食物の研究、さらには遺伝子操作によって解決した。疫病は医学・科学の研究、薬の開発によって解決した。戦争は核兵器の開発により解決した。(核兵器の登場により、戦争を始める事が自殺行為と等しくなった)

神ではなく人間自身が自らの課題を解決できることが判明したのだ。

今まで神に頼っていた領域が、実は科学とテクノロジーの研究によって人間自身で解決できる。これが現在私たちがいる地点。

もし私たちが神に頼っていたものが神に頼らなくて良くなったのなら、私たちは神に何を求めるのだろう?

 

 

 

3章・神の所業

おそらく、神に頼らずとも科学の力で神羅万象の力を得られるのならば、人類史から神は消え去る。なぜならば神の存在理由がなくなるからだ。

8万年前には食物連鎖の中間層だったホモ・サピエンスの先祖たちの子孫である私たちは、今や食物連鎖の頂点に立った。ティラノサウルスから追われる事におびえ、ライオンの群れに遭遇しないことを祈りながら、明日の食にありつけるか不安な夜を過ごすことは今はない。安全な家を持ち、計画的に生産される食べ物を手に入れることができる。

最近の人類は食物連鎖のピラミッドの外に進出し始めた。それを可能にしたのがDNAの研究だ。

 

一介のサルに過ぎなかった私たちは、科学という力を手に入れた結果DNAの二重らせん構造を発見した。すなわち生物の作り方のレシピを発見したのだ。

最近では遺伝子操作をして生物を創造することが可能になっている。遺伝子操作によりラットの背中に違う動物の耳を生やすことに成功している。クラゲの発光する遺伝子を組み込み光るラットの創造も成功している。

身近なところでは遺伝子組み換えをした農作物を食べた経験がある人は多いだろう。遺伝子・DNAの研究は、確実に私たちの生活に浸透してきている。

これが何を意味するのか?

人間に都合の良い生態系を一から創り上げることが可能になったのだ。

ダーウィンの進化論のように自然の摂理でできたピラミッドは破壊され、人間の都合にそったピラミッドが創られる。

それはもはや神の所業だ。

 

私たち人類は、8万年前に生きていた先祖が見れば、まさしく神と等しい存在になっている。

 

 

 

 

終章・神の消えた世界

人間が神の力を手に入れ始めている。それは上記に述べた通りだ。

旧約聖書において神はイスラエルの民にこう告げる。

 

「もしわたしが今日あなたたちに命じる戒めに、あなたたちがひたすら聞き従うならば、わたしは、その季節季節に、あなたたちの土地に雨を降らせる。あなたは穀物、新しいぶどう酒、オリーブ油の収穫がある。わたしはまた、あなたの家畜のために野に草を生えさせる。あなたは食べて満足する。あなたたちは、心変わりして主を離れ、他の神々に仕えそれにひれ伏さぬよう、注意しなさい。さもないと、主の怒りがあなたたちに向かって燃え上がり、天を閉ざされるであろう。雨は降らず、大地は実りをもたらさず、あなたたちは主が与えられる良い土地からただちに滅び去る」(『申命記』第11章13~17節

 

だが現代の科学者は旧約聖書の神よりもはるかにうまくやる。化学肥料や業務用殺虫剤、遺伝子組み換え作物のおかげで古代の神よりも生産性の高い活動をしている。

そして、今やイスラエルは天を閉ざされ雨が止まることを恐れていない。地中海沿岸に巨大な海水淡水化プラントを建設したため今や飲料水はすべて海から手に入れることができるようになった。

人間の欲望は果てしないので、科学の進歩は止まることがない。もはや、宗教や神という存在は不必要になった。分からない事や困ったことがあればインターネットに聞いてみればいい。知りたいことを知り、あらゆる専門家が答えを用意してくれるだろう。

近い将来、人間は神を信じなくなる。ならば、その後の世界はどのようなものなのだろう?

 

おそらく、人間は神の地位に昇り詰める。不死という力を手に入れて。

 

それらを可能にするのはおそらく「生物工学・サイボーグ工学、もしくは非有機的な生物を生み出す工学」だ。

生物工学とは遺伝子操作により人間の寿命をいじる方法だ。今やっている遺伝子組み換え作物のように遺伝子組み換え人間により長い寿命を持つ遺伝子をもった人間をつくる。

サイボーグ工学とは有機的な私たちの身体と人工的な手、足、目などと連動させる。たとえば、脳に埋め込まれた電極を刺激して離れた場所にある手足を自由に動かすことができる。夢の話にきこえるかもしれないが実際にサルの実験で成功している。この技術により脳は日本にいながらアメリカでバスケットボールをし、イタリアのピザを味わえるかもしれない。

さらにその先は、非有機的な存在になる方法がある。肉体をすて、意識だけ残りインターネットなどの非有機的な空間で存在することを指す。SFの世界でよくとりあげられるのがこれだ。

どの領域も現在研究の真っ最中であり、夢の話などではない。

どのルートを通っても、人間は不死の道を選んでいることは明らかだ。自らは不死の存在となり、遺伝情報をいじり都合の良いものを創造する。この惑星は今以上に人間のためだけに存在するものとなり果てるだろう。

神を手放し、自らを神に昇華させる。その先は果たしてなにが待っているのだろう?

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この記事を書いた人

文系で日本史専攻→システムエンジニア
世の中の役に立つシステムを開発・導入してます。
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